TVまとめ 『日経プラス10』 11/4 Google シュミット会長 インタビュー

どうも、かば式です。

11/4 の日経プラス10で Google シュミット会長のインタビューが放映されてましたので、書き起こしました。

同時通訳と山川キャスターのインタビュー力がやや???なところがあって分かりにくいのですがご覧ください。(インタビュアーは小谷キャスターだけでよかったんじゃない・・・)

(シュ):Google シュミット会長
(小):小谷キャスター
(山):山川キャスター
(ナ):ナレーター


(ナ)アメリカの巨大IT企業Google。1998年の創業以来急成長を遂げ、スマートクリエイティブと呼ばれる優秀で斬新な人材によって様々な分野でイノベーションを起こしてきた。今年イギリスの大手広告会社が行った調査では、世界で最も勝ちのあるブランドに選ばれた。そうしたGoogleの発展を支えたのは現在会長を務めるエリック・シュミット氏。その成功の秘訣が今回シュミット氏らによって1冊の本にまとめられた。なぜGoogleには次々と優秀な人材が集まるのか。そして驚異的なスピードで成長を続けるGoogleの経営手法とは。小谷、山川両キャスターがGoogle会長エリック・シュミット氏に聞く。

(小)今回ですね、シュミットさんに伺うにあたって、こういったご著書(How Google Works)をだされたわけです。この中には働き方とマネジメントについて、いろんな秘策が詰め込んであって。特に気になったのがスマートクリエイティブという言葉、そして、それにあたる人たちというのが、非常に重要であるという風にあるんですけども、このGoogleで活躍されるスマートクリエイティブとはどういう方々なのでしょうか?

(シュ)本の中で書いているんですけれども、何よりも重要なことは未来を創れる人を会社の中で使うことだと書いています。それがスマートクリエイティブという人です。テクニカルなアイデア、ビジネスのアイデア、好奇心を持っている人、それがスマートクリエイティブです。そういう人が企業の中に必要なんです。

(山)本を読むといわゆる技術の知識があって、なおかつ経営の感覚もある、何か何でもできるスーパーマンに見える、そういう人って沢山いるものなんですか?

(シュ)もちろん、それはなかなか見つかりませんけど、日本にはいますよ。そういう人は。日本にはすばらしい大学もありますよね。そして研究所も素晴らしいですし、研究者も素晴らしい人達がいます。日本であればそういう人材は見つかると思います。新しい車、新しいソフトウェア、新しい薬品を創り出せる、そういう人もいると思います。そういう人がスマートクリエイティブなんです。

(小)面接で30分面接すれば、そういう方がどうかが分かるとおっしゃってますけども、一番何を見ますか?

(シュ)いつもやっていることはですね、どういうことに興味をもっていますか、何か面白いことの話をしてください。アイデアについて話をしてください。そして今まで働いていてすごく楽しかったこと、その内容を詳しく話してください。という風に質問します。時には他の人から聞いたことをそのままオウム返しで言っている人もいますけども、そんなものは私たちは求めていないのです。心の中に本当の洞察力があるかどうか、問題をどう解決したかを語れる人たちが欲しいのです。で、もちろん、そういう人達の話を聞かなければいけいないのです。日本の企業においては非常に階層心理があって企業アイデアは常にトップから。Googleボトムアップで下の方から。ですから、その点の構造は違うと思います。

(山)採用に力を入れていると聞いていて、本の中でも驚いたのは、採用の人材の質を犠牲にするぐらいだったら、そんなところに置くポストはいらない、そんなポストはないとおっしゃれてますが、これはどういう意味でしょうか?

(シュ)おっしゃる通りですね。こうした人々等の多様さということを考えているんですけれども、どういう仕事をしてもらうのかが分からないのに、人は採用しないです。非常にスマートで好奇心のある人、そういう人であれば、そういう場所は見つかるかもしれないですよね。いわゆる全般的なスキルは持っているけれど、何か特定のスキルはもっていない、そういう人もいるかもしれません。でも、業界というのは常に変わっているんです。そういう時代に応じて変われる人というのが必要ですよね。

(小)優秀な人であれば逆にポストをつくるということもあり得るんですか?

(シュ)そうですね。仕事を探すんです。スマートな人を見つけて、その人ができる仕事を与える。そういうやり方です。こういう企業家からいろんな新しいことがでてきてます。新しいことというのは、そういった小規模の企業の企業家が生み出しているんです。大企業、もちろん例外もありますが、何かの発明だとか新しいアイデアといのは小さな企業。大企業がそいう企業を買収することはあるかもしれません。そういう企業家精神を持ったところから新しいアイデアが生まれてくる、それに注目している訳です。

(山)良く組織論で優秀な人ばかり集めても2:6:2の法則ということで、結局・・・

(シュ)(話を遮って)でもスマートな人が沢山いすぎるということはないんです。

(山)でも、組織の中でどうしてもモチベーションが高く保てて、リーダーシップが発揮できる人は全体の2割ぐらいになってしまって、元々優秀な人でもチームの中に溶け込めずにネガティブな発想をしてゆく。結局(できる)20%、真ん中の60%、ネガティブになる20%になってしまう、そういう話もあるんですが。みんなをモチベートして、優秀な人だけを集めて本当にマネジメントできるんですか?

(シュ)そういう考え方は私どもはもっていません。会社の中にスマートな人がいれば、それでもう充分なんです。そして、そういう人たちが何かを信じて仕事をすれば、問題が解決するはずです。私たちが採用で考えているのは、採用したいかしたくないかそれだけなんです。そして、そういう人が問題に対する解決策を見つけて、そうしたものに取り組める人、それを助けたい、そういう人ができるような仕事を与えたい、そういうビジョンを支えるような仕事を担いたい。従来の会社の採用の仕方とは、その点が大きく違っていると思います。

(小)社員をできるだけ窮屈なところに押し込めよと、なぜ?

(シュ)そうですね。"Packed them in"と言っています。窮屈な場所に入れるといことなんです。私が育った環境ではオフィスに個別の部屋があって、それぞれ個別で仕事をしていたんですね。でも本当はダンスをするような、そんな環境で、一晩中踊って話をして、そういった環境が一番クリエイティブな仕事ができると思います。実際、日本もそうですよね。人々が狭いところにいっぱい集まって、それはいいと思います。

(小)家賃が高いからですね。(笑)

(山)日本は前々から大部屋主義と良く言いますけれども、コミュニケーションを重要視していく、そういう部屋のスタイルにしてきたんですが、そこにアメリカのシリコンバレーの企業が近づいているというイメージなんですか?

(シ)そうですね。そういうものに近いと思います。

(小)散らかっている方が良いと本に書いてあったのですが、あんまり親は片付けをうるさく言わないほうがいいのですかね?

(シ)大人になったら、自分にベストだと思うことをやればいいんです。それだけの話です。

(小)散らかっているということと、仕事の効率のようなものはつながるのですか?

(シ)つながると思います。私たちはみんなにクリエイティブになって欲しい、情熱を持ってして欲しいんです。エネルギーを持って問題を解決して欲しい、エネルギーを持って仕事をして欲しいんです。机の上が綺麗かどうかは重要でないと思います。それから本の中でも書いていますが、非常に重要なこととして、職場には女性が多いこと、そしてまた、いろいろな宗教、いろいろなバックグランドを持っている多様な人々の集まりであることが必要です。沢山の人が集まることでいろいろな観点が生まれてくるわけです。

(小)Googleの場合、ランチ代がタダだったりとか、恵まれた福利厚生に我々はフォーカスしがちになるんですが。

(シュ)朝食も昼食も、それから夕食も無料ですよ。

(小)それも大事なんでしょうけれども、全体としてスマートクリエイティブを惹きつけるための文化として、一番大事なのは何だと考えていますか?

(シュ)一番スマートな人というのは、自分たちのアイデアを人に聞いてもらいたい、そういう考えの人です。例えば東京の大学でもそうかもしれません、大阪でも同じだと思うんですが、Googleに入ってくる人達は自分たちのアイデアがちゃんと説得力を持っていて、誰かにそれを支持して欲しいと思っているからGoogleに入ってくるんです。食事をタダで提供するということ、それはGoogleはファミリーだと思っています。一緒に食事をすれば、その中でいいコラボレーション、協力も生まれますよね。それによって仕事の意欲が生まれてくると思うんです。日本人は仕事熱心なところはそういうところにもあるんじゃないでしょうか。

(小)仕事も食事も生活もともにするというところで、常に緊張につつまれているな気もするんですけれども、一貫していいアイデアが生まれてくるというのとは、若干真逆のような気もするのですが?

(シュ)それは見え方次第だと思います。Googleで仕事をしている人は自分が仕事をしていることに非常に集中しています。リラックスしているように見えるときも非常に集中しているんです。自分たちで見ているから、それは分かっています。何をやっているかも分かっていますから。リラックスしているように見えても一生懸命仕事をしているんです。本の中でも書いていますが、一番重要なのは企業文化です。その文化の一部に自分が入っている、それを楽しいと思ってもらうことが必要なんです。そうでなければ、仕事に来るのはつまらなくて、仕事をしようという気にもならないですよね。私たちが話題にしている人というのは常に仕事をしているけれど、生活をきちんと送っている人です。そういう人たちには自分で自分の仕事の仕方、生活の仕方を管理してもらえばいいんです。タイムカードで管理するようなことは考えていません。仕事に来たら一生懸命仕事をして欲しい。もちろんバランスを持って仕事をすることは必要です。

(山)どれだけ採用で力をいれても、やっぱりこの人は失敗したな、というような人は入ってくるとは思うんですけれども、そういう人たちは排除するような形になるのでしょうか?

(シュ)そういうことは極めて稀です。Googleは一旦入ったら辞めないんです、みなさん。それだけ仕事がしやすい、やりたいところだと考えてくれているからじゃないでしょうか。もちろん雇用がうまくいかなかった場合にはいろいろきっちり話をして会社を辞めてもらうことがあるかもしれませんが、それは本当に稀です。

(山)ジャックウェルチさんが前にやったように、一番評価の低い1割を新陳代謝していくという考え方はGoogleにもあるのでしょうか?

(シュ)それは非常に良くないアイデアだと思います。なぜかというと、企業は常にレイオフの恐怖を持っている、そういう恐怖にさらされる企業になってしまいますよね。そんような枠を設けて。それだったら、そもそも一番下の10%を雇わなければいいんです。割り当てを設ける、そのようなことは考えません。ですから沢山雇いたければ雇えばいいし、もし良くない人を雇いたくなければ、採用人数を減らして良い人に絞ればいいんです。それがGoogleであり続けるための一番の秘訣です。

(小)入るのが難しいGoogle、一度入れば結果をだせなくてもOKということですね?

(シュ)ただ実際にGoogleのメンバー一員になれば一生懸命仕事しろ!働け!と言われます。チームがみんなを一生懸命働かせる、そういう雰囲気を持った会社なんです。

(山)Googleのビジネス、特にこれからGoogleの未来がどうなっていくのかということについて聞きたいのですが、まずは本業の検索のところを。シュミットさんは前々から、まだまだ検索のレベルはもっともっと精緻になるとおっしゃってるんですけれども、次にできるようになるよう検索、あるいは、情報の整理というものはどういうものを考えていますか?

(シュ)今は検索を理解できる初期段階にきているという状況です。音声サーチ、いわゆる話したことで検索をする、それはだんだん向上してきてますね。それから、AI、人工知能を使う。つまりコンピュータが予測をして、検索をしている人が何に興味を持っているか、そして、検索の先を見越して提案をしてくれうような、そういうものを求めていきたいです。ただ、検索は本当に初期段階に差し掛かっているにすぎないと思います。

(山)今の話の中で、ひとつは我々メディアにいる人間なので、特に話し言葉のところがより精緻に検索できたらと思うのですが、もう少し具体的に言うと何ができるのですか?今はまだ話し言葉のところまでしっかりと検索できていないということですか?

(シュ)音声検索ですけども、例えば車を運転している時に両手がハンドルにかかっていますよね。でもそういうときに、例えば右に曲がるか左に曲がるか聞きたい時もあるでしょう。あるいは母に電話をしたい、そういう場合もあるでしょう。そういう場合、音声検索ができれば非常に大きな違いが生まれると思うんです。でも、何年も前から、例えばこういう質問、例えばワシントンに行くべきか、東京に行くべきか。あるいは、フランス料理か、日本料理か。東京だったらどちらを夕食にとったらよいか。そんなような質問をいろいろと構築してきました。そのような良い質問を投げかけることによって、コンピュータはだんだんと学習していけるんです。そうすることで生活がよりスマートで快適なものになる、それを考えてきました。

(小)人間は考えなくても澄むようになるということですね。

(シュ)いや、人間は物事を考えなければいけないと思います。大半の人々の生活というのはだいたい退屈なことが多いと思います。でも、そこでいろいろ考えないといけません。いろいろ物事を考えて、コンピュータにはいわゆる退屈なことをやってもらって、本を読んだり、リラックスしたり、家族の世話をしたり、いろいろ考えたり、それは人間がやればいいことです。

(山)人工知能とかあるいはロボットの会社を買収なさっているのですが、それはなぜなんですか?

(シュ)まずはロボット工学の進化なんですが、日本が今世界をリードしていますよね。ロボットのトップの技術というのは日本にあります。それはもう日本の企業に感謝しています。最終的に今後何年かでロボットはもっともっと人間を助けてくれると思います。クラウドの中では、ロボットがインテリジェンスをプログラミングしたり、そして、私たちによりパワフルなサービスを提供してくれるでしょう。そういうロボットの技術の進化も期待できます。

(山)日本企業ではどんな会社を探してらっしゃいますか?

(シュ)オリジナルのロボットの考え方というのは、いわゆる日本の工場のオートメーション、例えば薬だとか自動車の組み立て、そういうところから生まれてきてますよね。品質は高いけれどインテリジェンスはそれほどありませんでした。GoogleはそれにAI 人工知能を加えて、日本のロボット技術の統合を目指している。

(山)よく言われている、Internet of things、全ての機械がインターネットにつながっていることによって、より学習してロボットが進化していく、そこではGoogleが中心的な存在になりたい、そういう意思があるということですか?

(シュ)そうなってくれればいいなと思ってます。今人々が使っているコンピュータは大半がアンドロイドがベースになっています。アンドロイドはOSとしてスマートウォッチにも使われて、スマートフォンで会話をしたり、GoogleGlassなどでも使える、医療機器で自分の健康をモニタすることにも使えます。もっともっと新しいエリア、テクノロジーが例えば人間の健康状態がどうなっているか、あるいは人間の健康状態を管理して医者に連絡してくれるような、そういう時代もあるかもしれません。それを支えるのがIOTですよね。

(小)そうすると、検索エンジンという今のビジネスモデルから、見てらっしゃる先のコアビジネスは何になりますか?

(シュ)Googleは今広告のビジネスでもビジネスを伸ばしています。日本では非常に順調にビジネスが伸びています。日本の成長率と比較しても高い成長率を今維持しています。日本のテレビのコマーシャルを見れば、それこそ世界でも最高クラス、それぐらいの広告がありますよね。ですから、そうした日本の皆様が愛してくれるような広告をGoogleは提供できています。そういう点では大きく成長しています。

(山)シュミットさんに経営のプロとしてお聞きしたいのですが、今、自動運転の話があったり、ウェアラブル端末の話だったり、医療だったり、インフラだったり、グーグルXと言われている研究開発の話がでてきているけれども、ネット広告に続く収益を稼げる本命のビジネスは何だと考えてらっしゃいますか?

(シュ)まだ、それは見えてきていません。売上でどういったことができるかということよりも、私たちはどういったインパクトがあるかということころをまず探っていきたいと考えています。今の時点ではどういうものがあるかというのは言いにくいところがありますが、例えば、私どものラボで血糖値を監視できるカメラ内臓のコンタクトレンズの開発を行いました。ハードウェアからの収益、スマートフォンからの売上も今後もっと伸ばしていけるかと思いますし、GooglePlayというものも出しています、つまりソフトウェアやエンターテイメントの商品も売っています、それも売上としては貢献度が高いですね。

(山)どうしても気になるのが、検索のところに戻ると、ヨーロッパでは忘れられる権利という話がでてきていて、Googleが検索の精度を高めようと世の中を便利にすればするほど、今度はプライバシーの問題と衝突するところがでてきてしまう。これについてはどのようにバランスされようと考えていますか?

(シュ)それぞれの国がバランスを模索すべきだと思います。ヨーロッパにおいては特に政府の関係者、それは訴訟の対象となると考えた訳でしょうが。ヨーロッパの正論がGoogleから情報は削っても、新聞には情報は残して欲しいと言っている、そういう妥協の産物なのかもしれません。

(山)どうしても、検索でその人に適した検索結果をだそうとした時、その人の趣味嗜好、人間関係など、いろんなことを分かれば分かるほど精度の高い検索ができるが、その人にとってはプライバシーとなる。Googleとしては世の中を便利にして、全ての情報を整理していく方向に突き進むつもりなのでしょうか?それともケアをしながら、これから進めていくのでしょうか?

(シュ)私たちがやりたいのはみなさんに選択の余地を与えたいんです。Googleはみなさんの全てを知ってしかるべきだと言うつもりはありません。システムはみなさまのことを何もしらない状況だとしたら情報は全く得られなくなってしまいますよね。サービスがよければ、それでいいかもしれない。もっといいサービスが欲しいという人がいれば別の選択もあるんじゃないでしょうか。

(小)蓄積されたデータというのは大変なビッグデータというわけなんですが、別のビジネスに有効活用していこうという考えはありますか?

(シュ)そこまでは考えていません。今、私たちは非常に慎重に今言ったよな目的のみに使おうと考えています。それによって収益は充分にあげられています。ただ、その情報を間違って使ったら、人々は不満を覚えるでしょう。ですから、データを売って別の形で儲けようということは考えません。


おしまい。


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